システムの見積もりを受け取ると、つい合計の金額に目が行きます。しかし、システムにかかるお金は、作るときだけで終わりません。使い続ける限り、毎月、毎年かかるお金があります。
見積もりを比べるときにこの部分を見落とすと、「作るのは安かったのに、毎月の支払いが重い」ということになりがちです。作った後にかかるお金を、種類ごとに整理します。
作った後にかかるお金
サーバーやクラウドの利用料
システムを動かす場所の費用です。使う人やデータが増えると、利用料も増えていきます。最初は月に数千円でも、データが何年分もたまると、保管の費用が少しずつ増えていきます。
外部サービスの利用料
メールの送信、地図の表示、AIの呼び出しなど、システムの中で外部のサービスを使っている場合は、その利用料がかかります。使った量に応じて請求されるものが多く、使い方によって金額が大きく変わります。
たとえばAIで書類を読み取る仕組みなら、1通ごとに費用がかかります。月に100通なのか、1万通なのかで、まったく違う金額になります。
ドメインや証明書などの更新
システムの住所にあたるドメインは、毎年の更新が必要です。更新を忘れると、システムやメールが突然使えなくなることがあります。費用は小さくても、誰が更新するのかは決めておきます。
保守の費用
不具合への対応、セキュリティの更新、使っている部品の更新などにかかる費用です。何もしなくても、使っている部品は古くなり、更新が必要になります。
改修の費用
業務が変われば、システムも変える必要があります。法律や制度の変更に合わせた改修も、この中に入ります。税率の変更、インボイス制度、電子帳簿保存法など、ここ数年だけでもシステムに手を入れる理由はいくつもありました。
| 費用 | 中身 |
|---|---|
| サーバーやクラウドの利用料 | 使う人やデータが増えると増える |
| 外部サービスの利用料 | メール送信や地図など、つないでいるサービス |
| ドメインや証明書などの更新 | 毎年かかる |
| 保守の費用 | 含まれる作業と含まれない作業を確かめる |
| 改修の費用 | 小さな改修1回あたりの費用 |
見積もりの段階で確かめること
- サーバーや外部サービスの利用料は、月にどれくらいの見込みか
- 使う人やデータが2倍になったとき、利用料はどう増えるか
- 保守に含まれる作業は何で、含まれない作業は何か
- 小さな改修を頼むとき、1回あたりどれくらいかかるか
- 開発した会社が保守を続けられなくなったとき、別の会社に引き継げる状態になっているか
最後の点は、長く使うシステムほど大切です。設計の資料やソースコードが手元に残っていないと、引き継ぐだけで大きな費用がかかります。
数年分で比べる
見積もりを比べるときは、作る費用に、3年分か5年分の使い続ける費用を足して比べると、判断を誤りにくくなります。
たとえば、A社は作る費用が80万円で毎月3万円、B社は作る費用が120万円で毎月1万円だったとします。3年間で比べると、A社は188万円、B社は156万円です。作る費用だけを見るとA社のほうが安くても、使い続ける期間によっては逆になります。
安く作ることと、安く使い続けることは別
作る費用を抑えるために、保守のしにくい作り方をすると、使い続ける費用がかえって高くなることがあります。
テストを省いて作ったシステムは、直すたびにどこかが壊れ、そのたびに調べる費用がかかります。資料を残さずに作ったシステムは、直すたびに中身を調べ直すところから始まります。見積もりの安さの理由が、こうした手間を省いていることにないかも、聞いてみる価値があります。
