業務をシステムで効率化しようとすると、自社に合わせて作るか、既製のサービスを契約するかで迷います。開発会社に相談すると作る方向に、サービスの営業に相談すると買う方向に話が進みがちですが、どちらにも向き不向きがあります。
既製のサービスが向いている業務
会計、勤怠、給与、経費精算のように、どの会社でもやり方がおおむね同じ業務は、既製のサービスが向いています。法律の改正への対応もサービス側で行われるため、自社で追いかける必要がありません。
使う人が多いサービスほど、使い方の情報も見つけやすく、困ったときに調べやすいという利点もあります。新しく入った社員が、前の会社で同じサービスを使っていた、ということもあります。
月々の費用はかかりますが、作る費用と保守の費用を自社で持つことと比べれば、多くの場合は安く済みます。
作るほうが向いている業務
一方で、次のような業務は、作るほうが向いていることがあります。
- 自社の強みになっている、独自のやり方がある業務
- 既製のサービスに業務を合わせると、かえって手間が増える業務
- 複数のサービスの間で、データを手で移し替えている業務
- 取引先ごとに書式や手順が違い、既製の型に収まらない業務
3つ目は見落とされがちです。サービスを1つずつ見れば便利でも、サービスとサービスの間を人が埋めている場合、その部分だけを作ると大きく効率が上がることがあります。
たとえば、受注はメールで受け、在庫は在庫管理のサービスで、請求は会計のサービスで管理している会社では、メールの内容を在庫のサービスに入れ直し、さらに会計のサービスに入れ直す作業が発生します。それぞれのサービスは便利でも、間をつなぐ作業に毎日何時間もかかっていることがあります。
| 既製のサービスが向く | 作るほうが向く | |
|---|---|---|
| 業務 | 他社と同じやり方でよい業務 | 自社の強みになっている独自のやり方がある業務 |
| 合わせたとき | サービスに業務を合わせても困らない | 合わせると、かえって手間が増える |
| データ | サービスの中で完結する | 複数のサービスの間で手で移し替えている |
迷ったときの考え方
その業務は、他社と同じでいいか
他社と同じやり方で困らない業務なら、既製のサービスを使い、浮いた時間を自社の強みに回すほうが合理的です。
サービスに合わせたとき、何が失われるか
既製のサービスに業務を合わせると、これまでのやり方を変える必要が出てきます。それで失うものが小さいなら、合わせてしまうのも一つの判断です。
逆に、そのやり方がお客様から選ばれている理由になっているなら、サービスに合わせることで強みを失うことになります。
サービスをカスタマイズしすぎていないか
既製のサービスを、設定や追加の開発で自社のやり方に無理に合わせていくと、サービスの更新のたびに不具合が出たり、費用が膨らんだりします。カスタマイズがかなり多くなりそうなら、作るほうが結果的に安いこともあります。
全部を作る必要はあるか
作るか買うかは、二択とは限りません。基本の業務は既製のサービスで回し、サービスで足りない部分や、サービス同士をつなぐ部分だけを作る方法もあります。
最近の業務サービスの多くは、外部からデータを出し入れする仕組み(API)を用意しています。これを使えば、既製のサービスをそのまま使いながら、間をつなぐ部分だけを小さく作れます。費用を抑えながら、自社に合った形にしやすい進め方です。
判断の前に確かめておくこと
- その業務に、今どれくらいの時間がかかっているか
- 使いたいサービスに、外部とデータをやり取りする仕組みがあるか
- サービスの料金が、使う人数やデータ量でどう変わるか
- サービスをやめるとき、データを取り出せるか
最後の点は意外に大切です。データを取り出せないサービスに業務を預けると、乗り換えたくなったときに困ります。
