前の開発会社が保守をやめてしまった、担当者と連絡が取れなくなった、費用が合わず別の会社に移りたい。こうした理由で、他社が作ったシステムの引き継ぎを相談されることがあります。引き継ぎは、最初の確認でその後の進めやすさが大きく変わります。
1. 手元に何があるか
まずは、手元にあるものを確かめます。
- ソースコード
- 設計の資料、操作の手順書
- サーバーやクラウドの管理画面に入るための権限
- 使っている外部サービスの契約と管理画面
- ドメインの管理権限
- 外部サービスにつなぐための鍵やパスワードの保管場所
このうち、サーバーやドメインの権限が前の開発会社の名義になっている場合は、早めに自社に移す必要があります。権限がないと、サイトやシステムを止めずに作業することが難しくなります。
前の開発会社と関係が続いているうちに、これらを受け取っておくのが一番です。関係が悪くなってからでは、受け取るのに時間がかかることがあります。
2. 今、何が動いているか
ソースコードがあっても、それが本番で動いているものと同じとは限りません。前の開発会社が、本番のサーバーで直接手を入れていることもあるからです。
本番の環境で実際に動いているものを確かめ、手元のソースコードとの違いを洗い出します。違いがあれば、本番で動いているほうを正として扱います。
3. どこが危ないか
古いまま更新されていない部品、セキュリティの更新が止まっているもの、動いているのに誰も中身を説明できない部分。引き継ぐ前に、危ないところを把握しておきます。
特に急ぐのは、提供元の更新が終わった部品を使っている部分です。セキュリティの問題が見つかっても直されないため、狙われやすくなります。
4. バックアップは取れているか
引き継ぎの作業中に何か起きたとき、元に戻せるかどうかは大切です。データのバックアップが取られているか、実際に戻せるかを確かめてから作業を始めます。
5. 何を残し、何を直すか
すべてを作り直す必要はありません。動いていて困っていない部分はそのまま残し、危ないところや、業務の妨げになっているところから手を入れます。
引き継いだ直後は、システムの中身をまだ十分に理解できていない状態です。この段階で大きく手を入れると、思わぬところが壊れることがあります。まずは動きを確かめ、理解できたところから少しずつ直していくのが安全です。
- 手元に何があるかソースコード、資料、サーバー・ドメイン・外部サービスの権限
- 今、何が動いているか本番で動いているものと手元のソースコードの違い
- どこが危ないか更新が止まった部品、誰も説明できない部分
- バックアップは取れているか実際に戻せるかまで確かめる
- 何を残し、何を直すか危ないところ、業務の妨げになっているところから手を入れる
引き継ぎにかかる時間と費用
引き継ぎには、システムの中身を調べる時間がかかります。資料がそろっていれば短く済みますが、資料がなく、ソースコードしかない場合は、調べるだけで相応の時間がかかります。
引き継ぎの見積もりを受け取るときは、調べる作業にどれくらいの時間を見込んでいるかを確かめておくとよいでしょう。
引き継ぎを楽にするために
これから新しくシステムを作る場合は、将来の引き継ぎを考えておくことをおすすめします。ソースコードと資料を自社で保管する、サーバーやドメインの権限を自社の名義にしておく。これだけで、開発会社が変わることになっても困らずに済みます。
