同じ内容で複数の開発会社に見積もりを頼んだら、金額が倍以上違った。システム開発では珍しくないことです。安いほうを選びたくなりますが、金額だけで判断すると、後から追加の費用がかかったり、思っていたものと違うものができあがったりします。

金額の違いには、たいてい理由があります。金額を比べる前に、見ておきたいところを整理します。

作る範囲は同じか

見積もりの金額が違う一番の理由は、作る範囲の解釈が違うことです。同じ説明をしても、ある会社は最低限の機能で見積もり、別の会社は将来必要になりそうな機能まで含めて見積もっていることがあります。

見積もりの明細を並べて、機能ごとに含まれているかどうかを確かめます。片方にしか入っていない項目があれば、それが金額の差の理由かもしれません。

含まれている工程は同じか

システム開発には、作るだけでなく、さまざまな工程があります。

  • 何を作るかを決める工程
  • 設計
  • 作る工程
  • テスト
  • 本番の環境を準備する作業
  • 今のデータを移す作業
  • 使い方の説明や資料づくり

安い見積もりでは、テストや、データを移す作業が含まれていないことがあります。後から別料金になることもあるので、何が含まれていて、何が含まれていないのかを確かめます。

前提条件は何か

見積もりには、たいてい前提条件が書かれています。「画面のデザインはお客様からご提供いただく」「データの移行はお客様で行う」といった条件です。

この前提を読み落とすと、自社でやる作業が思っていたより多かった、ということになります。

作った後の費用は同じか

作る費用だけでなく、作った後にかかる費用も比べます。サーバーの利用料、保守の費用、改修のときの単価。作る費用が安くても、作った後の費用が高ければ、数年で逆転します。

仕様が変わったときの扱い

開発の途中で、仕様が変わることはよくあります。そのとき、追加の費用がどう決まるのかを確かめておきます。変更のたびに見積もり直すのか、ある程度の変更は含まれているのか。

金額の前に見るところ
見るところ 確かめること
作る範囲 機能ごとに含まれているか、片方にしかない項目はないか
含まれている工程 テスト、本番の準備、データの移行、資料づくりが入っているか
前提条件 自社でやることになっている作業はないか
作った後の費用 サーバーの利用料、保守の費用、改修の単価
仕様が変わったとき 追加の費用がどう決まるか

質問への答え方を見る

見積もりの金額以上に、その会社の質の手がかりになるのが、質問への答え方です。

  • 業務について、こちらが気づいていなかった点を質問してくるか
  • できないこと、難しいことを正直に言うか
  • 見積もりの根拠を、分かる言葉で説明できるか

「何でもできます」と答える会社より、「ここは難しいので、こうしませんか」と提案してくる会社のほうが、実際に進めたときに頼りになることが多いものです。

安すぎる見積もりに注意する

ほかの会社と比べて大幅に安い見積もりには、理由があるはずです。作る範囲が狭い、工程が含まれていない、経験の少ない人が担当する。理由を聞いて納得できれば問題ありませんが、説明があいまいなら注意が必要です。

もちろん、安いことそのものが悪いわけではありません。作る範囲を絞っている、自社の仕組みで手間を減らしている、といったはっきりした理由があれば、安さは選ぶ理由になります。