時間と費用をかけてシステムを作ったのに、気づくと現場では使われず、元のExcelや紙に戻っていた。残念ながら、珍しくない話です。システムそのものは動いているのに、使われていない。原因の多くは、作る段階にあります。

原因1:現場の業務を見ずに作った

システムの要件を、管理する立場の人だけで決めてしまうことがあります。実際に毎日入力する人の作業を見ていないと、現場の手順に合わないシステムができあがります。

1回の入力に余計な手間がかかる、よく使う情報が画面の奥にある、電話を受けながら入力したいのに画面の切り替えが多い。こうした小さな使いにくさが積み重なると、人は元のやり方に戻ります。

現場の人は、困っていることを自分から言わないことがよくあります。「前のほうが楽だった」と口にする前に、黙って元のやり方に戻ってしまいます。

原因2:入力の手間が増えた

システムにすると、管理する側は情報が見やすくなります。一方で、入力する側の手間が増えてしまうことがあります。項目が増えた、確認の手順が増えた、という変化は、現場にとっては負担でしかありません。

管理のためにあれもこれも入力してほしい、という要望を全部入れると、入力する人の負担は大きくなります。本当に必要な項目は何かを、作る段階で絞り込んでおく必要があります。

入力する人にとっても楽になっているかどうかは、作る段階で確かめておく必要があります。

原因3:古いやり方が残っている

新しいシステムを入れても、古いExcelのファイルをそのまま使える状態にしておくと、慣れたほうに人は流れます。両方を並行して使う期間が長引くと、どちらが正しいのか分からなくなり、かえって混乱します。

切り替えの日を決め、古いやり方をいつやめるかを、はっきりさせておくことが大切です。

原因4:作った後に直していない

使い始めてから、使いにくい点は必ず出てきます。ここで直さずに放っておくと、「使いにくいシステム」という印象が定着してしまいます。

一度ついた印象を変えるのは大変です。使い始めてから最初の数週間で出てきた不満に、すぐに応えられるかどうかで、その後に使われ続けるかどうかが決まります。

原因5:使う理由が伝わっていない

なぜこのシステムを使うのか、使うと何が良くなるのかが現場に伝わっていないと、システムは「上から押しつけられた手間」になります。入力したデータが何に使われているのかが見えると、入力する人の意識も変わります。

使われなくなる原因と、作る段階での対策
原因 作る段階でできること
現場の業務を見ずに作った 実際に入力する人に、今の作業を見せてもらう
入力の手間が増えた 入力の項目は、本当に必要なものだけに絞る
古いやり方が残っている 古いやり方をやめる日を決めておく
作った後に直していない 使った感想を聞き、早いうちに直す
使う理由が伝わっていない 入力したデータが何に使われるかを見えるようにする

作る段階でできること

  • 実際に入力する人に、今の作業を見せてもらう
  • 入力の項目は、本当に必要なものだけに絞る
  • 最初は一部の機能だけを作り、現場で使ってもらう
  • 使った感想を聞き、早いうちに直す
  • 古いやり方をやめる日を決めておく

当社が小さく作って広げる進め方をとっているのは、このためです。使われないシステムを作らないためには、作った後に使われ方を確かめ、直し続けることが欠かせません。