業務委託のエンジニアは、プロジェクトの区切りや本人の事情で、いずれ契約が終わります。そのとき、その人しか分からないことが残っていると、残ったメンバーが後から調べ直すことになり、大きな手間がかかります。

引き継ぎは、契約が終わる直前に慌てて行うものではありません。日頃からの準備で、終わり際の負担を大きく減らせます。

引き継ぎで残してもらうもの

担当していた部分の説明

どの部分を作ったのか、どういう考えでその作り方にしたのか。ソースコードを読めば何をしているかは分かっても、なぜそうしたのかは書いておかないと分かりません。

特に、普通とは違う作り方をした部分は、理由を残してもらうことが大切です。理由が分からないと、後の人が「不要なもの」と思って消してしまい、問題を起こすことがあります。

途中の作業

やりかけの作業、気づいていたけれど手をつけていなかった問題、近いうちに対応が必要なこと。本人の頭の中にしかない情報を、書き出してもらいます。

手順

本番への反映の手順、定期的に行っていた作業の手順、トラブルが起きたときの対処。

アカウントと権限の一覧

本人が持っていたアカウントと権限の一覧も出してもらいます。契約が終わったら、すべて止める必要があるからです。

引き継ぎで残してもらうもの
残すもの 中身
担当していた部分の説明 何を作ったか、なぜその作り方にしたか
途中の作業 やりかけの作業、気づいていた問題、近いうちに必要な対応
手順 本番への反映、定期的な作業、トラブルの対処
アカウントと権限の一覧 契約が終わったらすべて止めるため

日頃からできる準備

作業を一人に集めない

一つの部分を、一人のエンジニアだけが知っている状態は危険です。コードを別の人が確かめる仕組みにしておく、ときどき担当を入れ替える、といった工夫で、知っている人を増やしておきます。

決めたことを残す習慣をつける

打ち合わせで決めたこと、作り方を選んだ理由を、その都度短く書いて残す習慣をつけておきます。後でまとめて書こうとすると、細かな理由は忘れてしまいます。

終わりの時期を早めに決める

契約がいつ終わるのかが分かっていれば、引き継ぎの時間を確保できます。フリーランス個人との業務委託で、6か月以上続いた契約を終えるときは、原則として30日前までの予告が必要です。予告の時期を引き継ぎの開始と考えておくと、余裕を持って進められます。

契約が終わった後に

契約が終わったら、すぐにアカウントと権限を止めます。チャット、ソースコードの置き場所、クラウドの管理画面、外部のサービス。止め忘れがあると、退職した社員のアカウントが残っているのと同じ危険があります。

本人が使っていた鍵やパスワードで、共有のものがあれば変更しておきます。

引き継ぎの時間も契約に含める

引き継ぎには時間がかかります。最後の数日を引き継ぎに充てることを、契約の段階で決めておくと、本人も気持ちよく対応できます。最終日まで開発の作業を詰め込んでしまうと、引き継ぎの時間がなくなります。